感想

消/失グラ/デーション 感想(ネタバレ含む)

 面白かったです!最初の方は、これ何てエロゲ?状態だったのですが、最後に謎が明かされたときには、驚いたと同時に途中で切らなくて良かったと心から思いました。途中で切ってたら今後この小説の話をするときにお門違いの批判をしてしまうところでした。
ちょっと検索してみると、やはりネットの評判はあまり芳しくありませんね。
ミステリとしてはあまり優秀なほうではないと私も思います。どことなくエロゲーっぽいと思ったら、作者はやはり、といったらあれですが、ラノベを書いていたことがあるようです。
たしかに屋上から落ちて消えた人が裏社会でひっそり生き残ってる、というのは無理があります。少年漫画ではよくありますが、ミステリでそれは御法度ですよね。それにしても、ヒカル君はひどい。

 主人公がハーレム、をはじめとした違和感の原因は最終的に判明するのですが、それでもやはり、『主な登場人物』の欄がどう見ても『攻略可能キャラクター』です。私はマユたんを攻略したいです。というか、マユたんハイスペックすぎる。美少女とイケメンとハイスペックな人が大量に出てくるとラノベっぽくなる気がしますが、それは現実味がないからなのでしょうね。文章の読みにくさは、最近ありがちなラノベ風文章だからというよりも、最大の伏線を崩さないためにやむを得ずああなったんじゃないかなあと私は解釈しました。

 この小説を読むにあたっての注意としては、1ネタバレは絶対見ない、2後ろを先に読まない、3真剣に推理しない、4リアリティを求めない、5主人公のリア充っぷりに挫けない、が挙げられます。一番大切なのは、言わずもがな5つ目、です。私は挫けそうになりましたが、今では最後まで読んで良かったとしみじみ感じています。これはかなり手の込んだ本格ミステリに違いない、映画化間違いなしだ、と思いながら読んでいたのに、叙述ミステリだったことには、(私の読みが外れたことに対して)少しがっかりしました。

 案外、キャラ萌え系の作品のような雰囲気を匂わせていたのも真相から目をそらす役目を果たしていたのかもしれませんね。それにしても表紙がめちゃくちゃ私好みです。なんとなく見覚えがあるなあと思えば、あれは私が以前本屋さんで目を奪われたものの恥ずかしくてチラ見しか出来なかった写真集の中の一枚であるようです。あの表紙の相乗効果もあり、評価は高めに☆5つといこうかとも考えましたが、アルキメデスには及ばないかな、と考え4つ星にいたしました。ご了承ください。よく考えてみると、マユたんの有能っぷりに魅了されてしまい、ひいき目に見て評価があがってしまっている可能性が多分にあります。ちなみに、これで主人公がマユたんと両想いエンドだったら私の中で今年一番の駄作になっていたことは、言うまでもありません。性についてあれだけ語っておきながらそれはないわ、ということです。あれ、でもさっき攻略したいとか言ってたじゃないの、それはパラレルワールドの話。

 ご都合主義が露骨に見受けられる作品(主にヒカル君)ではありますが、それが気にならないくらいの魅力があるし、何よりマユたんが素敵すぎるので、ぜひとも読んでいただきたいです。